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添加剤特集

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新連載 樹脂用添加剤・配合剤ガイドブック

第8回 機能性付与剤-②
発泡剤と熱伝導改質剤,および帯電防止剤

ポリマーテク研究所 葭原法

1.はじめに

 いろいろなハウジングやケースは、プラスチックスの大きな用途のひとつである。これらの中には、高い保温効果や断熱効果が必要な場合があり、また逆にICケースやランプケースのように高い放熱性が必要な成形品もある。プラスチックスは、金属や無機材料と比較して、一般に熱伝導率は低く、どちらかというと前者に適するが、特に高い断熱性の要求には、単なる成形品では未達であり、プラスチックスは発泡成形できるという特徴を活かして、断熱性を飛躍的に上げて広く使用されている。また、プラスチックスの優れた賦形性や電気絶縁性を活かした部品に高い放熱性が要求される場合もあり、配合剤の選択で無機材料に近い熱伝導性を有する材料も開発されている。発泡成形や配合剤の選択で、高低幅広く熱伝導率の制御が可能になってきている。

図1

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 また近年、エコ関連で輸送機器部品の軽量化が採用のポイントとなるケースも多い。金属部品の樹脂化による軽量化を更に向上する要請や、ヒケやソリを低減した商品性の高い成形品や、快適性の追求から吸音性の向上の要求も多く、断熱用途以外の狙いにも、いろいろな樹脂で発泡成形が行われている。

2.発泡剤

 図1に示したように、いろいろな発泡成形方法が工業的に実施されている。物理的に気体を分散混入する方法、化学的にガスを発生し分散する方法、微粒子を圧縮成形後焼結し、粒子間の連続空間を利用する方法や、成形後分散相を溶出してボイドを生成する方法などがある。これらのなかで発泡剤を使用する方法は、特別な設備や工程を必要としないことから少量多品種の成形品に適している。図2に示したように、発泡剤には、物理発泡剤と化学発泡剤がある。物理的発泡剤は、蒸発型発泡剤とも呼ばれ、圧縮ガスの放圧や気体など物理的変化により、発泡させるものである。物理的発泡には、不活性ガス、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素が、界面活性剤と併用して使用されている。物理的発泡剤は、次のような条件で選択される。①毒性がないこと、②無臭であること、③化学的不活性であること、④樹脂への拡散速度が低いこと、⑤不燃性・難燃性であること、⑥気化条件が加工条件に合うこと、⑦樹脂を劣化させないこと。
 化学発泡剤には、熱分解や化学反応によりガスを発生する無機系と有機系がある。無機系は分解時吸熱現象を示すのに対して、有機系は一般に発熱現象を示す。無機発泡剤は、有機発泡剤に比較して、a分解温度が緩慢である、b分解温度が低い、c分解生成物の分散性が低い、d連続気泡になりやすいことから、有機発泡剤が主となっている。有機発泡剤としては、樹脂への溶解性が低く、拡散の小さい窒素ガスを発生するものが実用されている。窒素ガスを発生する構造基によって、アゾ系、ニトロソ系、ヒドラジッド系、トリアゾール系に分類される。

図2

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これらは、単独でも使用されるが、アゾ系とニトロソ系を併用することにより、相互の分解生成物の反応により腐蝕の抑制効果がえられることや、アゾ系とヒドラジッド系の併用により分解生成物を中和する効果が得られることから複合使用される場合も多い。また発泡剤と発泡助剤・可塑剤・滑剤・気泡安定剤などを組み合わせた複合発泡剤も市販されている。化学発泡剤の選択は次のような点からなされる。

(1)分解温度と分解ガス量と分解速度

 分解温度が樹脂の加工温度、即ち熱可塑性樹脂の溶融温度、熱硬化性樹脂の硬化反応温度と適合しなければならない。ガス発生温度とその温度における溶融粘度が適合しないと、ガスが消散し有効成分は減少するので好ましくない。先ず分解温度が選択基準となる。分解時の発熱量は小さい方が樹脂の粘度変化や劣化をおこしにくいので好ましい。また分解温度のシャープさも必要である。ガス量は多い方がよい。分解温度が高すぎる場合は、適当な分解助剤の併用で低下できる。また分解速度が速すぎる場合は、発泡抑制剤を併用するとよい。

(2)分散性

 発泡成形には、樹脂への溶解性や拡散性の小さい発生ガスが好ましい。ただし、樹脂と発泡剤の相溶性がよくないと発泡が不均一となることや、物性低下を起こすので好ましくない。ストラクチャルフォームのように、厚肉のコア部に局在することが好ましい場合もある。この場合は、金型内での樹脂の固化速度の差により、発泡を制御しており、発泡剤の分解するタイミングが重要である。

(3)発泡セルのサイズと分布

 一般的に発泡セルのサイズは微細で均一な独立気泡が好ましい。吸音性を目的とした場合は適正サイズがあり、セルサイズが選定基準となる。

(4)樹脂物性への影響

 発泡剤やその分解物が樹脂と反応性を有すると劣化を起こすことがある。樹脂粘度の大きな上昇や低下および着色性が選択基準のひとつである。

図3

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(5)発泡倍率

 発泡剤の添加量と発泡倍率の関係から、目標の発泡倍率が得られるように発泡剤が添加される。

(6)毒性

 発泡剤およびその分解物の毒性が低いこと。

(7)価格

 有機系の発泡剤は、比較的高価なものが多い。コストアップの程度が選択の重要な要素のひとつである。

3.熱伝導性改良剤

 熱伝導性は、材料の熱伝導度、片面加熱された板材の裏面温度や裏面温度の分布、容器内の温度などで評価される。図3は、代表的な熱伝導性改良剤を示している。高熱伝導性と共に電気絶縁性が、成形品に要求されるかどうかが大きな選択肢となる。熱伝導改良剤は次のような点から選択される。

(1)電気絶縁性

 成形品への電気絶縁性の要求から選択される。電気絶縁性が必要な場合は、金属系の熱伝導性改良剤は使用できない。電気絶縁性も必要な場合、無機化合物や熱伝導性の高い繊維が選択される。

(2)分散性

 熱伝導率は、熱伝導改良剤の分散性や配向性に大きく依存する。熱伝導性が必要な方向が、長さ方向か厚さか方向かにより、熱伝導性改良剤の形状の選択基準が変わる。また熱伝導率に大変影響する、熱伝導性改良剤の分散性は、混練状態により変化するから、適切な混練条件で評価することが必要であり、分散性の評価を加味して選択することが必要である。

(3)配合量と物性

 熱伝導性の改善には、比較的多量の熱伝導性改良剤の配合が必要であり、機械的性質への影響がたいへん大きい場合が多い。物性へのダメージ度合いも重要な選択基準となる。熱伝導性の向上と物性保持の面から、熱伝導フィラーと繊維の併用も有効な方策である。

4.帯電防止剤

 プラスチックスの表面は、一般に電気絶縁性が高いため、異なる材料間の摩擦や接触により、静電気が発生しやすい。発生した静電気による成形品へのほこり付着や計測機器への雑音発生、引火性有機溶剤の爆発、人体への電撃など

図4

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が問題となる用途も多い。成形品が帯電しないように、表面抵抗を10 10Ω以下にすることが必要な場合がある。このための添加剤は帯電防止剤と呼ばれる。帯電防止剤の評価は、表面電気抵抗の測定や、ロータリースタチックテスターなどによる摩擦発生電荷の測定、帯電圧の減衰性、ちり・埃の吸引性により成される。帯電防止剤には、界面活性剤や導電塗料を成形品表面に塗布する方法や、導電フィラーや導電ポリマーや親水ポリマーをプラスチック材料へ練り込む方法がある。
 図4に、代表的な帯電防止剤を示した。導電フィラーとして、カーボンパウダーや金属パウダーがある。しかし、カーボンパウダーや金属パウダーを大量に配合すると、成形性や外観が悪化する場合があり、また色調が選べない問題がある。導電フィラー以外には、界面活性剤や親水性のOH基などの官能基を有する無機化合物や有機化合物がある。界面活性剤の親油基は、樹脂面に配列し連続皮膜を形成し、一方親水基は空気中の水分を吸収し、電気導電度を高め、帯電を防止する。この親水基の電離状態でアニオン系、カチオン系、非イオン系と区分されている。またブリードアウトせず、耐久性が高い永久帯電性を目指した高分子系のものもある。高分子系にも非イオン系、アニオン系、カチオン系のものがあり、用途により選択される。

 帯電防止剤は、次のような因子で選定される。

(1)耐熱性

帯電防止剤は、耐熱性が低いものが多い。加工温度や実使用温度を考えて、耐熱性の面から選択する必要がある。

(2)吸湿性

親水性の高い帯電防止剤が多いから、プラスチックスの材質への影響を考慮して選定される。

(3)分散性・相溶性

樹脂との相溶性や樹脂中での移行性により、ブリードなどで成形品表面を汚染しないこと。また高分子型帯電防止剤の場合、高性能を得るにはモルフォロジーの制御が重要であり、母相樹脂と帯電防止剤の粘度を考慮した選択や成形条件の設定が必要である。場合によっては、相溶化剤を併用する。

(4)母相劣化への影響

化学的に活性なものや分解性の高いものがあるので母相プラスチックを劣化しないことが選択の基準になる。

(5)帯電防止効果の持続性

実使用時、帯電防止が必要な部品には、持続性が必要である。

(6)少量で帯電防止効果が大であること。

(7)安価であること。

帯電防止剤を塗布する場合は、樹脂への塗膜の密着性が高いものを選択する。処理液の濃度は1%程度にして、均一に付着することが必要である。表面が粘着性を示すことやブロッキングを起こさないように注意が必要である。